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「ごめん…俺はお前を恋愛対象にはできない。」
それだけを聞くと、身も心もズタズタに切り裂かれてしまうような感覚に陥った。
ずっと好きだった琢磨。
それと同時に何も聞こえなくなった。
蝉の鳴き声も、海の波音も。
ただ、涙しか出てこなかった。
***
どうやって家に帰ったのかわからない。
よく漫画や小説ではあることだが、こういうことなんだ。
ベッドに横になると、下からお母さんの声が聞こえた。
「梨沙ー!!いるのー?」
今は返事をする気力もない。
頭が真っ白で、何もない今の梨沙にはどんなことにも耳を向けなかった。
一瞬のこと。
急に目の前が歪んで見えた。
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