4人が本棚に入れています
本棚に追加
――俺は本を読みながら登校していた。
車はほとんど通らない道だったので危険は無いだろうと完全に本に集中していた。
そんなふうに高を括っていたら角から走ってきた女子生徒とぶつかった。
当然女子生徒の方が体重が軽い(一概にはいえないが)のでその女子生徒はよろけて倒れそうになる。
俺はとっさに彼女の手をつかみ、引き寄せて転倒を避けた。
「すいません、大丈夫ですか?」
「いえ、こちらこ………。」
急に彼女は言葉を途切らせた。
何かあったのだろうか、怪我でもさせてしまったのだろうだろうか?
……めんどいな。
そんなふうに今後のことを軽く考えていた。
しかし彼女は想像もしてない言葉をかけてきた。
「一目惚れしました!好きです、一緒に老後を迎えてください。」
「……は?えっ…。ちょ……はあぁぁぁぁぁ!?」
いやいやいやいやいやいや、こいつは何を言ってんだ!?
とりあえず落ち着け……。
一目惚れ?まぁ世界には何十億人も人間がいるんだから一人くらいそんなヤツがいてもいてもおかしくはないだろう(十分おかしいことであるが)。
問題は次だ、一緒に老後を迎えてください?
……何かの間違いだろう。
きっと一緒に登校してくださいと言ったんだ。
うん、そんなかんじのはずだ。
……よし一応確認しよう。
「もう一度いってもらえますか?ちょっと聞き取りづらく……。」
「一目惚れしました!好きです、一緒のお墓の中に骨を埋めさせてください。」
「さらに重くなった!?」
なんなんだこいつは……。何段階手順を飛ばしてんだよ!?
せめて付き合ってくださいだろ!?
いや落ち着け俺、そもそも告白されるところがおかしくないか?
さっきはパニクってその問題をよしとしたが、まずそれがおかしい。
「すいません、無理です。誰とも知らない人と一緒に墓の中に入るなんてむりです。」
「いいじゃないですか。困ってる人を助けると思って。」
「そんな探し物手伝って、みたいな感覚で一生を約束される告白を呑むなんて無理です!!」
俺は立ち上がって彼女に背を向けた。
「僕はあなたの告白は受けれません!」
吐き捨てるように言って駅に向かい早足で歩いた。
まったく冗談じゃない。
もうあんなヤツと関わるなんてのは御免だ。
俺のセンサーがDangerコールを鳴り響かせている。
早く逃げなければ……。――
最初のコメントを投稿しよう!