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「イィィィィィヤッホーーイ!!デートだ、デート♪」
「いや、ちょっとデートじゃないですよ。あくまでお礼として……」
「でも2人だけで食事とか完全にデートじゃないですか!!」
まぁ分からないでもない。
確かに若い男女が2人きりで食事していたらはたからはデートに見えるだろう。
……はぁ、行くのが恥ずかしくなってきた。
「じゃあ、じゃあ、とりあえずメアド交換しましょ♪」
彼女は肩から提げた鞄からスマホを取り出し赤外線の準備を始める。
俺も嫌々ながらも受信を開始する。
「いきますよ~……」
ピロンという作業の完了を表す音と共に彼女のプロフィールが俺のスマホに表示される。
『東雲 奈々』
ひがしぐも?……いや、とううん?
「しののめです」
「あぁ、しののめ……」
東雲 奈々(しののめ なな)……。
これが静かに生きたいと願っていた俺の日常をぶち壊した張本人の名か……。
ヤバい、見てるだけでイライラしてきた。
しかし痴漢容疑を晴らしてくれたのも事実である。
そうだ、コイツは一応救世主なんだ。
……よけいにイライラする、よしもう忘れよう。
「忘れちゃダメですからね」
コイツ地の文を読んだのか!?
いやいやいや、キャラが地の文読んだらマズいでしょ。
「名前、忘れちゃダメですよ」
驚かせるなよ、ちょっとパニクって作者に文句を言ってやろうかと思っちまったじゃないか。
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