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「秋茄子は体が冷えますから、優しさからかもしれませんよ」
あたしはそう思いたい。
姑にも人の心があるのだから……。
「そういう優しさがあれば嫁姑の戦争はないんだろうね」
しみじみと義母は言う。
戦争か……。
きっと内乱の冷戦みたいな感じなんだろうな……。
「そうですね……」
あたしは義母の顔を見て少し笑った。
「どうしたの?
真理子さん?」
微笑みあたしの顔を義母は覗きこむ。
「あたしは幸せ者です。
優しく厳しくあたしを見てくれるお義母さんがいて」
そう言ってあたしは笑う。
あたしの結婚した友達は姑の事をよくグチグチ言ってるのを聞く。
そして農家に嫁いだあたしを気の毒そうな同情した眼差しで見てくるのだ。
あたしは不幸ではない。
これはあたし自身が選んだ道。
気の毒だ、可愛そうだと思われるのは心外である。
義母もあたしを頭ごなしに叱り付けたり、嫌味を言ったりしない。
だから、あたしは義母の事が実母のように……とまでは行かないが大好きである。
嫁姑の問題や戦争もなくあたしは幸せ者だと思う。
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