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「やだねぇ。
そんなに誉めると照れるでしょ。
ウチは男三人だったから貴女が可愛くて仕方ないのよ」
恥ずかしそうに義母は頬を赤らめた。
義母は早くに旦那を亡くしている。
男三人と年寄り二人……今はもうおじいさんはいないが、女手一つで支えてきた。
母であり大黒柱でもあった。
結構な肝っ玉母ちゃんである。
「お義母さん……」
ジッと哀愁漂う義母の横顔を見た。
あたしは核家族で育ってきた。
父と母と兄一人とあたし。
だから……。
義母や旦那の壮絶だった生活は、想像がつかないがそれを乗り越えて来たことは尊敬している。
「私もね、姑には可愛がってもらったからね」
義母は柔らかい口調で言う。
「へぇ。
おばあさま優しそうですものね」
おばあさんは今も健在だ。
シルバーカーを押して散歩に行く程、元気である。
お昼になると縁側でお茶をすすりながら日向ぼっこをするのが日課である。
「今じゃ穏やかだけど昔は結構厳しかったんだよ」
しみじみと義母は言う。
「そうなんですか!」
今のおばあさんからは想像できずあたしは驚いた。
「でも、嫌味を言われた事はなかったね。
だから私も素直になれたよ」
ニコニコひながら義母は言う。
義母はおばあさんを尊敬してるんだと実感した。
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