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「おいおい…冗談だろ?」
森の中で正明達が見たもの
それはゾンビと化した犬におそわれるS.T.A.R.S.のメンバー達だった
健太が少し後退りながら正明に話し掛ける
「…俺、正直今でも怖いんだ」
「…おお」
弱音を吐く健太、だがそれを責めるつもりは正明には無かった
今健太と千尋がここにいるのは正明が巻き込んだからである
故に、正明はふたりを責めない
しかし、その直後健太が言った言葉に正明は驚愕した
「でもさ、ここで俺らが行かなきゃあの人達皆死ぬんだよな」
「…そうだな」
「よし、吹っ切れた。俺、助けてくるわ」
「…だな」
顔にはださないが、正明は内心驚いていた
「千尋! 準備良いか!?」
健太が大声で千尋を呼ぶ
その時、後ろからバイクの音が聞こえてきた
次いで、千尋の声が響く
「オッケー、走れるよ! 条件は一人につき一人は絶対に拾うこと。ここから見る限りだと後三人ってとこかな」
草むらからバイクをいじっていた千尋が現れる
その顔には整備中に付いたのか、油がついていた
三人は同時に頷き、バイクに跨がった
「なあ」
バイクのエンジン音が響く中、正明が呟く
「あ?」
健太が大声で聞き返す
それは日本の、あの学校でのいつものやりとりだった
「こんな形で巻き込んどいてなんなんだけどさ……ホントに覚悟はいいんだよな?」
そう、正明はずっとその事が気掛かりだった
巻き込んだのは自分なのに文句を言わない二人が逆に怖かった
それ故、このタイミングで聞いたのだが
健太と千尋は、暫く正明の顔を見た後こう言った
まず、先に健太が口を開く
「ったくよぉ! このバカはこんなときに何言ってんだ? ……何年来の付き合いだと思ってやがる、死ぬときゃ一緒だろうが」
口調こそ荒っぽいが、顔は笑っていた
次に、千尋
「そうそう、それにこんなカッコいい役あんた一人にやらせるわけないじゃん。
それに昔からでしょ? あんたがあたし達を巻き込むのも、結局あたし達も乗るのも」
力強い言葉だった
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