FILE3:shot

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正明は森の中をバイクで駆け抜けながら考えていた 時間はない上、チャンスは一度きり そうわかっていても動いてしまうのは性格だろうか そこまで考え、目の前で茶髪の女性に襲いかかろうとしているゾンビ化した犬を見つける 正明のすることはひとつだった ゾンビ犬を撥ね飛ばし、女性に声をかける 「乗れ」 女性は怪訝そうにこちらを見る それにめげず正明はもう一度声をかける 「頼む。乗ってくれ、時間がないんだ」 その言葉の通り、撥ね飛ばされたゾンビ犬が唸り声をあげ立ち上がろうとしていた それを見た女性は正明の手を取り、問い掛ける 「あなた、名前は?」 意外なことに、それは流暢な日本語だった 正明は暫し目を丸くすると、口角を少し上げ言った 「平和島正明だ」 信じてくれた。この事がただ嬉しかった 正明の名前を聞き、女性は自身の名前を名乗った 「ジル・バレンタインよ。よろしく、マサアキ」 微笑みながら名乗ったジルに正明は一瞬、目を奪われた だがジルの背後から飛び掛かってくるゾンビ犬に気付き、我にかえると反射的にデザートイーグルを構え、照準をゾンビ犬に合わせる その時、正明には時間が止まったかのように感じた ジルは相も変わらずこちらの目を見て微笑んでいる 正明がトリガーを引けば、ゾンビ犬はジルに届くことなく頭部をバラバラにされ動かなくなった 少しの沈黙の後、正明はため息をつきながらジルに聞いた 「アンタ……後ろから来てることわかってたな?」 その言葉にジルは笑みを深くする それは肯定だった 「ったく……俺が気付かなかったらどうするつもりだったんだ? 死んでたかもしれないんだぞ?」 「大丈夫よ。マサアキなら気付くとわかっていたから」
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