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もしあのまま間に合わなかったら
そう考えると背筋に冷たいものが走る
流れる冷や汗を拭いもせず、正明は先程の男に話し掛けた
「…どうなってんだよ、あれは何なんだ。何で俺達の学校があんなことになってやがる」
真っ直ぐな質問に男は真っ直ぐ正明の目をみながら応える
「あれはある製薬会社か造り出した生物兵器、『Tウイルス』に感染したものだ」
生物兵器という聞きなれない単語に眉を潜める正明達
それを見ながら男は続ける
「数ヵ月前の事だ、アメリカにあるラクーンシティで奇妙な殺人事件が起きた」
「奇妙な殺人事件…?」
千尋が聞き返すと男は頷き、話を続ける
「被害者は皆、食い殺されていたんだ」
食い殺す、それは常人がすることではない
不穏な話題に正明達が肩を震わせた
話は続く
「そして今、アメリカの部隊がある洋館を調べに向かっている。そこで、君達にその調査を手伝ってもらいたい」
その瞬間健太が立ち上がり、男につかみかかった
「ふざけんじゃねえ! そんなとこに行けってのか!? 死ぬかもしれねえんだぞ!」
「頼む、君達にしか頼めないんだ。私達はこの学校をなんとかしなくてはならない」
それを聞き、健太は動きを止める
男の口調が強くなる
「これ以上被害が広まらないよう、ここで食い止めなければならないんだ! 最早話はこの高校だけではない! 日本、いや、世界規模の事件なんだ!」
男の言葉から、何か重たいものを感じた
今まで普通に過ごしてきた自分達では想像もつかないような、何かを
「…わかった。俺は行くよ」
気付けば正明は立ち上がり、そう言っていた
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