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「麻里絵。
身体、大丈夫か?」
古びたアパートの一室。
いきなり出て行った
麻里絵がまた源太の家に
戻ってきてくれた。
源太は死ぬほど
嬉しかった。
麻里絵も
源太と同じ気持ちだった。
「うん。大丈夫よ。
源ちゃん…本当に…ごめ…」
「もう謝らなくていいよ。
わかったから。
お前の気持ちも」
部屋に入るなり
源太が麻里絵を
ギュッと抱き締めた。
「ありがとう…」
「もう何処にもいくな」
麻里絵を抱く腕に
力が入る。
「うん。ずっと
源ちゃんの傍にいる。
いさせて…」
「当たり前じゃん。
……お腹の子供もさ
大事にしなきゃ、な」
「うん…ありがとう」
「会長や組長たちに
感謝しなきゃな…。
こうしてまた麻里絵と
いられるようになったのも
極月さんたちの
おかげだもんな」
「そうだね…。
わたしだけじゃ
どうしようもなかった。
源ちゃんや会長さんたちが
助けてくれなかったら
わたしっ……」
源太の腕の中で
麻里絵が泣きじゃくる。
そんな麻里絵の背中を
優しくさすり続ける源太。
夜は静かに
更けていった。
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