~詐欺~

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翌朝。 青たちに朝食を 摂らせた後、 子供たちにとって 曾祖父である亀吉の屋敷へ 連れて行った。 「おぉー、きたか、きたか」 顔をくしゃくしゃにして 青たちを抱き上げる亀吉の姿は こわい世界で 生きている極道とは かけ離れていた。 曾孫の前では 亀吉もただの曾祖父なのである。 いつも一緒にいる 子供たちと離れることは 後ろ髪引かれる思いであったが 状況が状況である。 麻里絵が源太の家を飛び出し 東京のキャバクラで すぐに働いていると聞き バックに自分らと同じ 極道が絡んでいるかも、と 極月は懸念していたのだ。 もし争い等なったら 青たちを危険な目に 合わせることになる。 それは何としても 避けたかった。 「ほな、行ってきます。 みんな、お利口さんにして 待っててな!」 久しぶりの亀吉の家が 珍しいのか、三人とも 泣きもせずニコニコと 「ばいばい」手を振っていた。
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