~詐欺~

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「着きました。 ここからは車が入れません」 太郎が ネオン街から少し離れた 大通りに車を停めて 後ろのドアを開けた。 「通行止めだから 仕方ない。ありがとさん」 今夜のトラジは いつもにも増して ど派手な出で立ち。 テラテラ光る 白のスーツに 黒のワイシャツ。 純金のネックレスや 高級腕時計にブレスレット。 高級ブランドの エナメル靴に身を包み、 スキンヘッドにサングラスを かけていた。 道を歩く人が 一瞬ギョッとした顔をして そそくさと逃げるように 去ってゆく。 チンピラの装いが 大好きなのである。 だが やはり関東一の虎組を仕切る 組長。 貫禄が漂う。 太陽もトラジほど 派手ではないが 今夜は黒のスーツに 真っ赤なシャツをお洒落に 着こなしていた。 源太たちも 皆、派手な服装の中で 極月だけが パッと見には 普通の女子高生の格好で 周りから見ると 異様な光景だった。 「よし。行こう」 ゆっくりと 一同が歩き出した。 「行ってらっしゃい!!」 車の前で太郎たちが 頭を下げ見送っていた。
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