~詐欺~

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数ある店舗の中で トラジが経営に 手を出している店も 少なくない。 呼び込みの若い男たちが トラジの姿を見て駆け寄り 必死に挨拶をしている。 「トラジはん。 さすがやね(笑)」 極月が笑うと 「ここは わしの庭みたいなもんだ」 トラジも豪快に笑った。 「ああ、そこだ」 すぐ斜め前にある 一軒の店をトラジが指差した。 『蝶』と紫色のネオンがついた 派手な店構え。 店の前には 二人の呼び込みボーイが 立っていた。 「虎組だ」 トラジが男たちに告げると 「いらっしゃいませ!! どうぞ!!こちらです!!」 大袈裟な身振り手振りで 地下の店へと案内する。 黙り込んだまま 一番後ろをついて歩く 源太をチラリと極月が 振り返り見た。 「虎組さまが いらっしゃいました!!」 ボーイが勢いよく 店のドアを開けた。 「いらっしゃいませ!!」 従業員たちの 威勢の良い声が 聞こえてきた。
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