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「―――お前…。」
「あ、ファミマ。
じゃあ、あたしこっちだから。
精々死なねぇように頑張れ。」
あたしは別れ道の目印であったファミマを見つけると声のトーンを普段通りに戻した。
自分でも気付かない内に低くなっていたらしい。
「―――それはこっちの台詞だっての。
へとちるんじゃねぇぞ。」
「当たり前。」
あたしは拓也にニヤリと笑みを見せると振り返らずに足を進めた。
「…あの馬鹿…無理すんじゃねぇぞ…。」
そんな声が聞こえたような、聞こえなかったような…。
――――――
「ここも馬鹿広いな…。」
目の前に立ちはだかるのは桜花と比べて全く正反対の校舎。
生徒がガラ悪いのってガセじゃねぇの…?
窓ガラスは全部無事だし、落書きや血痕もない。
時間が早いのも理由にあるだろうが騒がしい喧嘩の音や声も全く聞こえなかった。
「ま、百聞は一見にしかずってか…。」
あたしはそう、小さく呟くと潜入地‘源川高校’へと足を踏み入れた―――。
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