潜入

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「意外とデケェ…。」 「やっ…!!」 ブラウスのボタンを全部取られ、このあたしが泣きそうになる。 怖い。 我慢していたその感情が一気に溢れ出す。 なんとかしなきゃ。 今ここには助けてくれる奴もいない。 蓮が、来てくれるわけじゃねぇんだ。 あたしはギュッと目を閉じ心を落ち着かせる。 あたしは‘鬼姫’ あたしは‘姫鬼’ あたしは‘強い’ あたしはそっと目を開けると男子生徒を睨み付ける。 もう、涙腺は元に戻った。 「…アンタ等最低だな。 止めろっつっても止めねぇ、最低野郎の馬鹿猿共。」 「んだと!?」 「失せろ、あたしが殺る前に。」 「俺等がヤるんだよ!!」 「そうか、残念だ。」 あたしは深呼吸すると腹に力を入れ―――。 ガンッ!! 「あがっ!!」 頭突きを決めた。 百合直伝の頭突き、気絶しないわけがない。 そのまま床に崩れていく生徒の顔面を踵で蹴りあげた。 「なっ…幹!!」 あたしは素早く立ち上がって距離を取った。 残りは五人か。 あたしは腕を拘束している鉢巻きを歯で千切った。 .
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