潜入

31/53
前へ
/711ページ
次へ
両腕が自由になったことで手をプラプラさせる。 身体が自由になっちまえばこっちのもんだ。 あたしは左手でブラウスを押さえ下着を隠す。 「よくも幹をっ!!」 「幹だか馬鹿だか知らねぇけど、あんま馬鹿な真似やってると女できねぇぜ?」 「っつ…!!煩せぇ!!」 「ありゃ?図星?」 顔を真っ赤にして殴りかかってくる男子生徒達。 あたしはそれを冷静に返り討ちにしようとしたが―――。 バンッ!!と派手な音をたてて扉が吹っ飛んだ。 大破した扉は気絶した奴に直撃。 「テメェ等何やってんだ!!」 「!!ヤベッ!!」 「逃げんじゃねぇよ!!」 扉を蹴破って倉庫に入ってきたのは蓮―――では勿論なくて。 般若より恐ろしい顔をした卓斗だった。 卓斗は全員殴って気絶させるとあたしに駆け寄ってきた。 「お前…。」 「平気、まだ未遂。」 卓斗に背を向けボタンをはめていく。 「……。」 無言の卓斗が怖い。 このあと振り向いた瞬間絶対に拳骨が降ってくる。 あたしはかなりのスローペースでボタンをはめると後ろに振り返った。 「ありがと、助かった。」 まだあたしの正体(本性とも言う)は隠しておきたかったし、なにより…。 .
/711ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1858人が本棚に入れています
本棚に追加