潜入

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「あたしは‘鬼姫’だ!!」 ごめん晃。 「それ以上でもそれ以下でもねぇ!!」 またあたしは嘘をつく。 「人違いだ!!」 晃達にたくさん嘘をついて本当にごめん。 「勝手に勘違いしないでくれ!!」 でも今あたしが‘姫鬼’だってこと言えねぇんだ。 まだ、言えない。 でも、もし、いつか…。 「っつ―――!!」 「そうか…。」 晃にバレないように、ギュッと我慢するようにあたしは拳を握った。 あたしはいつまで隠すんだ? いつまで隠さねぇといけねぇんだ? あたしは…。 黒髪の桑原愛と、‘姫鬼’と‘鬼姫’…。 本当のあたしで晃達の前に、素のあたしでいたことがないんじゃないか?。 いつもバレないように嘘ついて、黙ってて…。 「あたしはっ…!!」 全部取っ払って、嘘付かないでいない人…誰もいない。 家族にだって、咲さん達にだって、晃達にも、みんな嘘ついてる―――。 「っつ…最低だっ…!!」 .
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