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――――――蓮…?
後ろ姿も、蓮に見えた。
「っ…!!」
違う、今こんなこと考えてる場合じゃない!!
あたしは慌てて人影を追う。
バンッと扉を乱暴に開けた。
人影は一階窓から逃げたようだ。
「見つけた…。」
「晃!!」
いつからいたのか息を切らした晃があたしの腕を掴んでいた。
「すぐに馬鹿と魁さん呼べ!!
ここに何かある!!」
「は!?」
あたしは晃の手を振り払うとあたしも窓から飛び出した。
なぁ…。
まさか、蓮…。
お前生きてんのか?
ドクドクと騒ぐ心臓に気付かないフリをしながら思いっきり走る。
そしたら夏休みに海に行ったとき、偶然会ったのは夢じゃなかったのか?
全部…。
蓮、蓮、蓮…!!
「馬鹿野郎!!どこいやがる!!」
なぜかわからないけど、一筋だけ涙が流れた。
あたしは涙を乱暴に拭って目も擦り涙を誤魔化す。
「蓮っ…!!」
あの人影は蓮とは限んねぇけど…。
蓮に見えた。
蓮がいつもつけてた香水の匂いが少しだけしたんだ。
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