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「え?あ、これー。」
魁さんはポケットを探る。
手の上を見れば確かにチョコレートが乗っていた。
でも、いつもあいつが食べていたものとは違った。
「考えすぎ…か…。」
自嘲気味た笑みを浮かべるがすぐにそれを隠すように消した。
兄貴はともかく魁さんや晃に弱味を握られるわけにはいかねぇ。
「―――ありがとうございます。
思ってたのと違いました。もう、大丈夫です。」
「うん…。」
…自分で思ってたより、あたしはチョコレートに期待してたみたいだ。
もし蓮がいつも持ってたチョコなら…なんて思ってたけど。
―――蓮…。
今、どこにいんだー?
―――
「あっぶねー。」
男は1人、夜道を走る。
「あいつがいるなんて聞いてないぜ…。
北都さん、何考えてんだ…。」
―――
「もう、朝になるぞ…。」
「あ、本当だ。」
図書室の窓から朝日が差し込む。
「今日はここまでにすっか。
少し仮眠しねーと体持たねぇからな。」
「そうしよっかー。
スッゴい眠い…。」
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