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大きなあくびを浮かべながら体を伸ばす魁さん。
「そうすっね…。」
晃は少しだけ眠そうだ。
「……。」
あたしは、全く眠くない。
正直、眠いとかそんな事を感じている余裕がなかった。
蓮の事で頭が一杯になって眠気が吹っ飛んでいた。
「姫、戻るぞ。」
「………うん。」
「また今日の夜、くりゃいいだろ。」
「………うん。」
ポンポンと、卓斗が優しく頭を撫でてくれた。
頭撫でられると安心する。
―――でもあたし、何やってんだろ。
勝手に1人で暴走して、動揺して。
んで、蓮がいたってだけでここが怪しいっていっちまって。
別に薬の匂いがしたわけでもないのに。
「なんかあたし、馬鹿…。」
拳を握り誰にも聞こえないように小さく呟く。
蓮、あたしやっぱり蓮がいねぇと調子出ねぇみてぇだ。
「姫。」
「…なに。」
図書室を出ようとすれば晃が真剣な目をあたしに向けていた。
その目に心臓がドクンとなる。
この真っ直ぐな目…蓮にそっくりだ…。
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