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「あり…が…と…。」
「ちょっおまっ…!!
あたしが泣かせたみてぇじゃねぇか!!」
「センセーが泣かせたんだよ…。」
ポロポロと涙を溢す早水。
これじゃまるであたしが泣かせたみてぇじゃねぇか!!
「男の癖にビービー泣くな!!」
「わかって…!!」
「と、言いたいところだが…。」
「ぶ!!」
あたしは着ていた上着を脱ぎ早水の頭に被せ覆った。
「これで顔は見えねぇぞ。
今まで溜めてた分吐き出しちまえ。」
「でも…。」
「ここには誰も来ねぇし近寄らねぇよ。
嫌だったらあたしも出てくぞ。」
「いい…センセーはここにいて…。」
ぎゅっと、あたしのシャツを掴む。
「……。」
そこからあたしはただずっと黙って側にいた。
こういう時上手い言葉が思い浮かばないからただ座ってるだけ。
1限終了チャイムが鳴っても、2限開始チャイムが鳴ってもずっと座っていた。
―――
「サンキューな。」
「おう。」
3限終了チャイムが鳴る10分前、早水があたしに上着を返した。
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