双子

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ズルズルと本棚を支えに地面にしゃがみこむ。 なぜか悔しくて泣きそうになって、泣かないように下唇を噛んだ。 図書室じゃないなら他の別教室か? それとも本校舎に校長室と似たような仕掛けがあんのか? …なぁ蓮…。 もしも近くにいんだったら教えてくれよ。 蓮…蓮…。 れ…ん…。 「あの…世界一大馬鹿野郎が…今すぐ姿見せねぇとミンチすんぞ!!」 バンッと、また本棚を強く殴る。 「姫!!」 「……。」 「兄貴…晃…。」 「落ち着け、オレがいるから。 咲達も、晃達も、消えない。」 「姫。」 「な、蓮はどこだ? あたし、アイツがいねぇと調子出ねぇんだ。」 「……姫。」 「もしかして迷子か? たっく、世話が焼ける野郎だぜ。」 「姫。」 「兄貴はここで待っててくれ、あたしちょっと探してくる。」 「―――姫!!」 卓斗の大声にあたしの肩がビクンと震えた。 「いっ…!!」 卓斗はあたしを本棚に押し付け両手を拘束した。 .
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