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小さくため息を吐きながらも紙袋の中身を出してみる。
中には襦袢やら足袋やら…和服に必要な物が一通り揃っていて…あたしはつい顔をしかめてしまった。
入っていた着物は黒い生地に鶴と赤と白の椿が描かれていてこの冬の時期にはピッタリだ。
帯揚げは濃いめのピンクで帯の色は金色、なにかの花とはわからないがとにかくたくさんの花が描かれている。
…………これをあたしが着るのか!?完全に着物に負けるだろ!!完全に似合わないだろ!!
確かにこのデザインは愛華にはまだ少し大人っぽいかもしれないけど!!これはダメだろ!!
「………。」
しかし湊の言葉が脳裏をよぎる。
『着替えるまで中に入れない』
…あんな野獣どもがいる中に愛華一人残せっかァァァ!!
ここはあたし!!気合いだ気合い!!恥を捨てろ!!愛華を救い出す為に!!
あたしはせっかく着替えた服を脱ぎ捨て今までで一番早いだろう速さで着付けをする。
今ここに咲さんを呼びたいぐらいだ。
…やっぱ今のなし、こんな姿見られたら絶対写真撮られる!!そんなもんあったら一生の恥だ!!恥さらしだ!!
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