0人が本棚に入れています
本棚に追加
それからは一瞬の出来事だった。
君は確かに僕の横にいた。しかし、今はあの小さな子の背に覆い被っている。迫り来る鉄の塊から守ろうとしている。
その背に僕は叫びを聞く。
―いけない!この子から生を奪ってはいけない!
まだ、「まだ」がある。
この子はこれから沢山の人と出会い、かけがえのない" "を知る。
だから、私は構わないから。
この子を必然に、流してしまわないで………。
悲痛に満ちていた。
君はそんなにも熱い想いをその身体に宿していたのか。僕は驚愕した。そして思い返す。あの怠惰な日々を。何をするでもなく、ただ過ごしてきたあの日々を。君との思い出を。
ふと気づく。僕と君は違う心を持っていたんだ。当たり前のことに今、気付いた。僕はほっと安堵した。
君だけの"答え"が出たんだね。
最初のコメントを投稿しよう!