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美並が話を変える。
「そういえばー、上原先生オメデタじゃん?今週から、部の顧問代わるらしいよ」
「えっ、今週から?新しい顧問誰だろうねー」
わたしも、朝香も、美並も、文芸部だ。
上原先生というのは二十代後半の女の先生で、文芸部の顧問。
すごく優しくて、きれいな先生なんだ。
先生は、数ヶ月前に結婚していて、今週から産休に入るらしい。
朝香が残念そうに言う。
「えー、他の先生に代わるなんてやだな。ね、玲衣」
「うん。先生、わたしたちが卒業までに復帰するかなー」
「どうだろ。産休の後に育児休暇に入るかもねぇ」
「てか新しい顧問、だれになると思う?」
美並が言ったことは、わたしも気になっていた。
「うち、中川だけはムリー」
朝香が言った中川というのは、古文の中川先生。
ハゲたおじさんで、いつも皮肉を言っている。
「わたしだってやだよ。他にはー?」
「うーん、あと国語科の先生で、部を持ってないのは……」
朝香と美並の声がハモる。
「ナオ先生!」
そっか。あの先生も部を担当してなかったのか。
「……って。飯澤先生もでしょ」
ツッコミみたいになってしまった。
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