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夕日が、旧校舎の廊下を、蜜色にそめている。
その光に照らされて、こまかな埃が窓辺で舞っている。
わたしは弾んだ息を整えながら、軋む木造の廊下を歩いていた。
もうみんな来ていたらしい。部室の扉をあけると陽菜が叫んだ。
「玲衣、おそーい!」
「ごめーん!スカート短いって注意されちゃって」
朝香が苦笑しながらきいてくる。
「だれに?」
「我妻」
それを聞いた由里が顔をしかめた。
「げ、我妻?もう厳しすぎ」
我妻は口うるさく、怒りっぽい。
とくに由里は、美人で目立つタイプだからか、些細なことでもよく注意される。
由里の我妻嫌いは部内でも有名だ。
「てか、もう始まる時間過ぎてるよね。新しい先生、来てる?」
「ああ、先生は―――」
ガラガラッと戸が開けられる音がした。
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