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振り返ったわたしの目に映ったのは、柔らかな色の髪。
整った顔は、ちょっと気怠げな表情で。
それが少し、色っぽい。
秋葉先生。
わたしはどこかで、先生が顧問になることを予測していた気がする。
陽菜がすぐに先生に気づく。
「せんせー、みんなそろいました!」
「遅れてすみません、先生」
全員揃うのを、先生は待っていたみたいだ。
「次から気をつけなさい」
先生は苦笑しながら言った。
「じゃあ、改めて。上原先生が産休に入られたので、顧問になりました、秋葉です。よろしく」
先生が黒板に大きく、秋葉尚輝、と書く。
国語教師らしい、きれいな字で。
「文芸部は二年生が五人、一年生が三人か」
朝香が、きらきらした瞳で先生を見ている。
……新しい顧問が秋葉先生で、すごく嬉しそう。
「一年生は受け持ってないし、一応全員に自己紹介してもらいます」
美並が「部長からだよ~」と由里を肘でつつく。
「部長の永瀬由里です。二年一組です」
「副部長の帆刈朝香です。二年二組です」
朝香はあんな奴だけど、意外にもしっかりしている。
副部長なんて面倒くさいと言いながら、ちゃんと仕事をしていたりする。
自慢の親友だ。
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