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「春と言えば入学式じゃん。もしくはクラス替え」
陽菜が怪訝そうな顔をする。
「……それで?」
「進学とかクラス替えって不安じゃない?それまでの友達と離れるから。」
「うん」
「でも、新しいクラスで、友達がいなくて不安なときに、知らない子が明るく話しかけてきてくれてうれしい、みたいな」
陽菜の顔が明るくなって、うれしそうに喋りだす。
「たしかに。新しい出会いってオトコだけじゃないもんね!春って新しい友達もできる季節だよね。ありがと、玲衣!」
「うん。お礼は購買のプリンで!」
「えぇ~!有料なのー!」
思いつきでそう言うと、また、陽菜の眉が下がった。
「…………はぁ~」
夕方の六時三十分。部活が終わる時間だ。
外はもう、夕日よりも暗闇のほうがだいぶ優勢。
わたしは、陽菜と話した数分をのぞいて、ずっとパソコンと格闘していた。
背を反らして、んーっと大きく伸びをする。
凝っていた首が、すこしだけ楽になった。
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