episode1

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「春と言えば入学式じゃん。もしくはクラス替え」 陽菜が怪訝そうな顔をする。 「……それで?」 「進学とかクラス替えって不安じゃない?それまでの友達と離れるから。」 「うん」 「でも、新しいクラスで、友達がいなくて不安なときに、知らない子が明るく話しかけてきてくれてうれしい、みたいな」 陽菜の顔が明るくなって、うれしそうに喋りだす。 「たしかに。新しい出会いってオトコだけじゃないもんね!春って新しい友達もできる季節だよね。ありがと、玲衣!」 「うん。お礼は購買のプリンで!」 「えぇ~!有料なのー!」 思いつきでそう言うと、また、陽菜の眉が下がった。 「…………はぁ~」 夕方の六時三十分。部活が終わる時間だ。 外はもう、夕日よりも暗闇のほうがだいぶ優勢。 わたしは、陽菜と話した数分をのぞいて、ずっとパソコンと格闘していた。 背を反らして、んーっと大きく伸びをする。 凝っていた首が、すこしだけ楽になった。
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