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「そろそろ時間だから。部長、終わりのあいさつして」
手に、部誌を持った先生が、立ち上がって言う。
……今までその部誌を読んでたのかな?
先生が持っている部誌は、去年の文化祭のときに発行したものだ。
去年は個人誌と、部員全員の作品が載った作品集があった。
先生がいま読んでるのは、作品集の方みたいだ。
「起立。今日はみんなだいぶ書き進められたみたいで良かったです。じゃ、解散してー」
由里がそう締めたのを合図に、みんなが帰りの支度をはじめる。
去年の文化祭、わたしはたしか詩を書いた。
だれかを好きで、泣きそうとか、そういう感じの詩。
経験は、あまりないから、想像だけど。
「じゃあ、もう暗いから気を付けて帰れよ」
そういえば。
先生も、そんな風に、あの公園の彼女のこと、好きだったのかな。
「れーい、何ぼうっとしてんの。はやく帰ろ?」
隣を見ると、朝香が立っていた。
「あっ、ちょっと待って。もうちょっとで準備終わるから」
出しっぱなしにしていたノートを、急いでバッグに仕舞う。
「はいはい。てかさ、帰り、駅前のカフェ寄ってこうよ」
「あの新しくできたとこ?」
ヨーロッパの絵本から抜け出したような外観で、すごく気になっていた。
「そう、そこ!あそこのチーズケーキが絶品らしいの!」
「そうなんだ。行く!」
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