episode1

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「そろそろ時間だから。部長、終わりのあいさつして」 手に、部誌を持った先生が、立ち上がって言う。 ……今までその部誌を読んでたのかな? 先生が持っている部誌は、去年の文化祭のときに発行したものだ。 去年は個人誌と、部員全員の作品が載った作品集があった。 先生がいま読んでるのは、作品集の方みたいだ。 「起立。今日はみんなだいぶ書き進められたみたいで良かったです。じゃ、解散してー」 由里がそう締めたのを合図に、みんなが帰りの支度をはじめる。 去年の文化祭、わたしはたしか詩を書いた。 だれかを好きで、泣きそうとか、そういう感じの詩。 経験は、あまりないから、想像だけど。 「じゃあ、もう暗いから気を付けて帰れよ」 そういえば。 先生も、そんな風に、あの公園の彼女のこと、好きだったのかな。 「れーい、何ぼうっとしてんの。はやく帰ろ?」 隣を見ると、朝香が立っていた。 「あっ、ちょっと待って。もうちょっとで準備終わるから」 出しっぱなしにしていたノートを、急いでバッグに仕舞う。 「はいはい。てかさ、帰り、駅前のカフェ寄ってこうよ」 「あの新しくできたとこ?」 ヨーロッパの絵本から抜け出したような外観で、すごく気になっていた。 「そう、そこ!あそこのチーズケーキが絶品らしいの!」 「そうなんだ。行く!」
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