prologue

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衆人環視のなか、彼女が右手を振り上げる。 そして――― バチイィィィィン 凄まじい音。そして辺りは静まりかえる。 衝撃で、男の人の顔が横を向く。 遠目からでも分かる。あっ、やっぱりイケメンだ。 彼女は顔を真っ赤にして、くるりと後ろを向いて去っていった。 音の消えた空間に、カツカツカツカツという彼女のミュールの音だけが響く。 驚いて、動きを止めていた人たちが、何事もなかったようにそれまでしていたことを再開する。 それでも、チラチラと男の人を盗み見る視線は絶えない。 しばらく呆然としていた男の人も、くるりと左を向いて足早に去っていく。 彼の左頬には、真っ赤な手形ができていた。 その赤い横顔を見て気づく。 あれって………………先生?
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