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「えー、したがってこの第四段落の役割は、筆者の主張と一般的な見解を比較することであり……」
月曜日の三時限目、国語の現代文。
担当は、今年から秋葉先生。
去年、わたしたちが入学したのと同時に新卒で採用されたから、たぶん今年で二十四歳。
この学校で、一番若く、そして、一番人気のある先生。
「結城、十五ページ七行目から読んで」
先生が生徒に、特に女子生徒に絶大な人気がある理由は、若いからだけじゃなくて――――
「――――玲衣、玲衣!」
「えっ、なに?」
「当たってるよ、七行目から」
先生が、ぼーっとしているわたしに気づいて、当てたらしい。
イスをガタガタッとしながら、急いで立ち上がる。
「――――であるから、私はこの問題はもはや国家規模ではなく、国際規模で取り組むべき問題であると考える」
「よし、そこまで。結城座って。次、吉田」
わりと長めの段落を読み終えて、やっと座る。
「朝香、ありがと」
教えてくれた友達に、お礼を言った。
「ちゃんと授業聞きなよー」
「はーい」
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