episode1

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「えー、したがってこの第四段落の役割は、筆者の主張と一般的な見解を比較することであり……」 月曜日の三時限目、国語の現代文。 担当は、今年から秋葉先生。 去年、わたしたちが入学したのと同時に新卒で採用されたから、たぶん今年で二十四歳。 この学校で、一番若く、そして、一番人気のある先生。 「結城、十五ページ七行目から読んで」 先生が生徒に、特に女子生徒に絶大な人気がある理由は、若いからだけじゃなくて―――― 「――――玲衣、玲衣!」 「えっ、なに?」 「当たってるよ、七行目から」 先生が、ぼーっとしているわたしに気づいて、当てたらしい。 イスをガタガタッとしながら、急いで立ち上がる。 「――――であるから、私はこの問題はもはや国家規模ではなく、国際規模で取り組むべき問題であると考える」 「よし、そこまで。結城座って。次、吉田」 わりと長めの段落を読み終えて、やっと座る。 「朝香、ありがと」 教えてくれた友達に、お礼を言った。 「ちゃんと授業聞きなよー」 「はーい」
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