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適当に応えて、先生の観察にもどる。
高身長で、イヤミなほどに長い足。
教師にしては明るい色の、やわらかそうな髪。
茶色がかっているのに許されているのは、地毛だからだろう。
そして、女子生徒に騒がれる、甘く整った顔立ち。
はっきりとした二重の、優しげな瞳。
すっと通った鼻筋。
先生の顔をじっと見て思う。
やっぱり、昨日の“あれ”は、先生だ。
でも、先生の左頬に赤い跡はない。
目を細めて、もっとよく見てみる。
やっぱり、見えない。
昨日の“あれ”は違う人だったんだろうか。あんな顔の人が、そうゴロゴロいるとは思えないけど。
それとも、兄弟とか?
キーン コーン カーン コーン
授業終了の鐘が鳴った。
「起立、礼」
ノートとシャーペンをもって立ち上がる。
先生の周りは、授業の質問をする女子で大賑わいで。
わたしは初めて、その群れのなかに突っ込んだ。
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