1人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなタダユキの「お耳に入れておきたいこと」という言葉に、ウズマサの太い眉がぴくりと反応した。
「ふむ。言うてみい」
「はっ、それが……姫様の病気を治すことができる、と申す者が現れたのでございます」
「な、何っ!?」
ウズマサの娘は名をユキといい、その名の通り雪のような白い肌の美しい少女であった。
しかし、数ヶ月前から謎の病にかかり、ずっと床に伏せっていたのだった。
「タダユキ、早く! その者をここへ通せ! 儂が十数える内に!」
「いや、その者は今、姫様のお部屋におりまして、十数える内にというのは……」
「ええいまどろっこしい、儂が行くっ!」
そう言うとウズマサは部屋を飛び出し、床板を踏み抜く勢いで駆けて行った。
「殿、お待ちくだされ~!」
タダユキも慌てて主を追いかけた。
早歩きで。
最初のコメントを投稿しよう!