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「ね、ねぇ、君、何で追われているの?」
「…」
「てゆーか、何で俺まで一緒に逃げてるんだろう??」
この街を知り尽くしている俺を巧みに振り回す彼女。えっと、ラミストさんだっけ?どうにも彼女はここの住人じゃないらしく、この入り組んだ街で迷い始めた。そしてたどり着いた先は-
「行き、止まり…どうしよう」
「逃げても無駄だと言ったはずだ。」
「もう追いついてきたのね。」
「さあ、渡してもらおうか、お前の持っているそのライトストーンを。」
「だめよっ!!これは私のお母様の形見なの。」
何だか大変なことになってるけど、全くもって話が読めないんだよね…俺。でも、ラミストさんが困ってる。それに大切なものを奪われそうになっていることぐらいは分かるよ、俺にも。
「ねぇ、やめてあげなよ、嫌がっているんだよ、彼女は。」
「何だ?お前は…。お前には関係のない話だっ。」
「うわぁっ。」
「やめて。彼は関係ない」
「そうだ。関係ないのだろう。傷つけられたくなければ、それを渡せ。」
あの人も術を使えたのか!?泣きそうな顔で、彼女は光る石を渡そうとしている。守らなきゃっ。俺は思った。
ピカァァー!!
「!?こっれは、共鳴だと!お前も持っていたのかっ。」
「…えっ私の他にもいたなんて。」
「よく分からないけど、今は逃げようよ。」
「え、ええ。」
「また、逃がした。」
「ハァハァもう、追って来ないみたいだよ。」
「…そうね。」
「ねぇ…あなた、何でその石を持ってるの?」
「ああ、これ。昔さ、じーちゃんが俺にくれたんだっ。」
「何であなたみたいな一般人が…」
「でも、この石のおかげで助かったみたいだね。良かったよ。」
「そう…あなたも力が使えた。」
「?何か言った?」
「いや、何でもないわ。」
「そっか。でも俺さ、その、ラミストさん見て思ったんだけど、初めて会った気がしないんだよねー。うーん。気のせいかな?」
「そう、なの?もしかしたら、ずっと前に会ったかもしれないわね。」
「えーっ!やっぱり!?でも何か思い出せない。」
「うそよ。」
「ガクッ。嘘なのかー。でも本当にどこかで…」
「人違いじゃないの?」
「うーん。ま、いいか。」
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