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「会ったらどんな顔をして会えばいいんだろう………」
帰ってきたのは良いものの、春矢には会わせる顔がなかった。
春矢は僕の血の繋がらないお兄ちゃんだ。といっても歳は同じなのだけど。
黙って出ていって連絡もしなかった僕なんか、とっくの昔に忘れられているのかも知れない。
会っても口さえ聞いてくれないかもしれない。
そんな不安さえ浮かんでくる始末だ。
「はぁ………」
長く大きな溜め息をつき、下がっている気分がさらに下がるのを自身で感じ取っていた。
これから向かうは、全寮制音楽専門の男子校。
そんなところでやっていけるのかと…………
今まで外国で過ごしてきた感覚と時差ボケでぐるぐるしている頭を抱えながら、これからの行く先に不安を覚えた。
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