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(あいつ、何か壊したな!)
玲子は立ち上がったそのままの勢いで居間へと向かった。
バタバタバタ……ガチャ。
「……!」
居間はたしかにきれいになっていた。
ただし、テーブルの上だけ……。
「おっかたづけ♪おっかたづけ♪みんな一緒におっかたづけ♪」
そんな風に歌いながら、みかんはテーブルの上の物を次々と弾き飛ばしていた。
「やめんかぁ!!」
叫び声と共に放った回し蹴りはみかんの後頭部を直撃し、彼女を地に這わせた……。
ミーミーミー……。
みかんは、頭のこぶを押さえ泣き続けていた。
「それで、あんたの言う『綺麗にする』っていうのはこの事?」
みかんは綺麗になっているテーブルを見て言った。
「……ちがうんですか?」
みかんの答えに玲子は頬を引きつらせた。
「あんたねぇ。」
床の上は惨たんたる有様だった。
醤油差しは中身をじゅうたんの上に撒き散らし、花瓶は床に落ちてバラバラに砕けている……。
みかんはこめかみに青筋を立てている自分のマスターの顔を不思議そうに見つめた。
「かずさんは喜んでたのに……。」
玲子は、みかんが師匠に追い出された理由を今、本当の意味で理解した。
「あらあらあら……。」
ビクッ。
玲子はその声に恐る恐る振り返った。
「これみかんちゃんがしたの?そぅ……じゃあ、責任はレイちゃんが取ってくれるのよね?」
こめかみに怒りマークを張り付け、にこやかにそう言う母の言葉に玲子はただうなづくしかなかった。
「じゃあ、今夜中にね♪」
そして哀れなマスターは真夜中までかかって、じゅうたんの染みを落とす羽目になったのだった……。
〓つづく〓
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