月影町

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月影町

月影町では度々非現実的な現象(所謂ファンタジー)が起こる。 それは事象であったり物であったり生き物であったりと実に多様である。 それではよくないと思ったガチガチの理系の町長は"非現実取締委員会"なるものを設置した。 委員会は非現実的なものを見つけては排除する、事象であれば原因を紐解き、物であれば処分、人であれば絞首刑に処せられる。 非現実取締委員会が出来て丁度一年後、設立記念に魔女狩りなるものが行われ、多くの人間が無実の罪で殺された。 その余りの惨さにとある若者が立ち上がり、その若者の意見に賛同した市民達と共にデモを起こした。 それによって非現実取締委員会が倒れるなんて事はなく、デモを起こした大半の市民は捕まり、懲役を課せられ、若者に至っては火炙りの刑に処せられその命を落とした。 ただ、この事件を期に非現実取締委員会のあり方が議論され、半世紀近く経った今も議論は続けられている。 中央区にある非現実取締委員会本部前で若者が残した言葉はこの町ではあまりに有名で、反非現実取締委員会派の者達の語り文句として繰り返し使われている。 「非現実取締委員会の存在が既に非現実的である」
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