ドッペru原画ー ノ 肆

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「そっちのベッドも同じぐらい柔らかくなかったですか?」  向こうの部屋も、相当に高そうなベッドだったはず。  削雛さんを運んだの僕だし、寝かせたのも僕なのだ。   「え……あぁ、そう、あれよ、私の肌には合わないって感じのでさ」 「なるほど」  寝床の選り好みは人それぞれだし、きっと僕には解らない芸術肌的な何かが、きっと削雛さんにはあるのだろう。ならばここは、僕が一肌脱ぐべき場面だ。 「じゃぁ、ここで寝ますか?」 「へっ!?」  ゆっくりと安めのなら、それが一番だと思った。 「い、いやでも、それって……」 「僕がそっちの部屋で寝ますから、どうぞこっちを使ってください」  義を見てせざるは勇無きなり、なんてそこまで恩着せがましい事は言うべきではない。ここは普通科怪談部雑務担当である僕が、ごく普通に譲るべきだ。むしろ願ったり叶ったりと思うべきだ。  さっそくと背を起こし、一度布団を捲り上げてベッドから這い出ようとした所で、 「……ちょ、ちょっとまって」  グイっと、シャツの裾を掴まれ、引き留められた。  見れば、削雛さんも僕と同じような格好をしている。  つまり、シャツ一枚。下着一枚。  身空木とは違うけど、それでも白く、綺麗な肌と脚。  僕と同じなれど、女性である削雛さんが着崩せば、かなりセクシャルな格好になってしまっている。 「そ、その……そんな格好だと、風邪ひきますよ」 「私の事はいいから…………いや、ごめん、これもやっぱり、私のことだ」  引き付けられる裾端に力がこもる。 「……ねぇ、お願い。答えて」  見上げる瞳には、怯えにも似た、焦燥感が宿っているように見えた。  削雛さんが、一息飲み込んでから、口を開いた。 「私は……私達は本当に、  本物   なの?」  そんな事を、削雛さんは僕に尋ねた。  よりにもよって、この僕にだ。
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