ドッペru原画ー ノ 肆

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 震える胸が空気をうまく押し出せず、溢すように言った。    僕は削雛さんを押し退けた。    その身体は軽く、まるで羽のようだった。    僕は泳げない魚のように、ベッドの上を這って、陸地へとずり落ちる。    立ち上がって、覚束ない足取りで扉に手を掛け、開き、廊下へと逃げた。    冷たい廊下の空気を吸い込み、その場で両膝の力が抜け、扉を閉じ、背にして、削雛さんを閉じ込めるように、僕はその場で丸まり自分の両膝に縋った。  早まる心音が、食べたばかりの胃袋を締め上げる。  吐きそうだ、僕はまた、吐き出しそうになっている。  それだけは駄目だ、こんな所で、コレを吐き出すわけにはいかない。  自分の手首を咥えて、背中から聞こえる微かな泣き声から逃げるように、強く、強く、骨を噛んだ。  込み上げてくる、渇望の呻き声が、誰にも聞こえないように、強く噛みしめた。    ――解るはずがないんだ、僕なんかに。  真実を求める人に、僕は何一つ、真実を教えることなんて、できないんだ。  だって、所詮、僕は――     真東蒐の “偽物” なのだから。   §   §   §
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