ドッぺru原画ー ノ 壱

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「しかし充分過ぎる程に別人だ、制服も新調したのか? あのやけにボロボロだったお下がりの制服とボサボサだった長髪が、どれだけ君という存在の主体性に一役買っていたかがよく解るじゃないか」 「僕の主体性がそんな所に集約していたとは思いたくないな」 「他人なら、君を君と認める部分は大抵が外面における特徴だよ」 「そんな事はないだろ、人は外見じゃ無いって素敵な言葉が世の中にあるって話だけど」 「だとすれば、そんな言葉を言った奴と私は良い友達になれそうだ。それにその言葉は真価の在り所を示唆する言葉というだけで、真偽を確かにする言葉ではないのだよ」  言って、言われて、その見惚れそうになる程の、楽しげで、嬉しげで、嫌な笑みのまま、今度は右手を僕の顔へと伸ばしてきたので咄嗟にその手を叩いて払った。 「なんだケチめ、少しくらい触れさせてくれてもいいじゃないか。前々から女よりな顔をしているとは思っていたが、思った以上に女々しい顔立ちに興味が抑えきれないのだよ」 「お前にだけは女々しいと言われたくない」 「素晴らしい誉め言葉と受け取っておこう。あぁそうだ、なんなら私と制服を交換してみないかね? 今の君ならきっと似合うことだろうさ。ほら、どうだ?」   制服のスカートを左手で小さくたくし上げて、中身を見せられた。  部室のほの暗さに目も慣れていたのか、黒タイツから随分と際どいラインで純白の希少区域が思春期を真っ当に迎えた僕としては、悲しくもとても眩しく……もなかった。 「タイツの中身も女物の下着を穿いてるのか」 「当然だよ。それに男は白が好きだ、女も白い物は好きなもんさ、まぁ下着だけに関しては別だがね。だが私は断然、白が好きだ、白はいい、私にはよく似合うだろ?」  つまり、自分の好みに合わせた下着を今日も着用してきているということらしい。  それも嘘かもしれないけれど。  どう見ても身空木は、白でもない、黒でもない、灰色が似合いそうだけど。 「別に男がみんな白が好きって決まってるわけじゃないだろ」 「なら参考までに聞いておこうか、次回の私は何色の下着を着用してくればいいんだ?」 「うるさい、裸で登校してこい」 「酷いな、まったく相も変わらず私に冷たい奴だ」
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