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昔々、ある所にとても大きな箱があったそうだ。
ソこには七匹の人間“もどき”がいたんだとさ。
どうして七匹なのかは知ったこっちゃありません。
もしかすると神様がそう決めたからかもしれません。
その箱の中では、人間が食べる動物も、それを育てる植物も、それを育てる太陽も空もなかったそうな。
大きな蓋が覆い被さり、暗く、狭い箱の中には七匹の人間もどきがいるだけだったそうな。
人間もどきは、
人間のように美しくなく、
人間のように賢くなく、
人間のように神を信じられなかったせいで、空を見上げることも許されず、四本の手足を地べたに這わせて蠢いていました。
人間もどきは長い間、箱の中で蠢いていました。
人間もどきは長い間、箱の中で考えていました。
人間もどきは長い間、箱の中で神を呪いました。
しかしその内、一匹がこう思いました。
“僕(わたし)はお腹が空きました”
少しして、人間もどきは六匹となりましたとさ。
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