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ドッぺru原画ー ノ 弐
§ § §
あぁ色々と突っ込みたい。
学園街の北に位置する御影ノ学園芸術学科の歴史は浅い。
しかしそれは歴史的に深くないというだけで、決して狭いという意味ではない。
芸術科の手広さと、自由度の高さは御影ノ学園で一番だと評判なのだ。
校舎も比較的に新設された物が多いせいか、他の学科にある乱雑とした雰囲気はなく、かわりに近代的なデザインセンスを多く取り入れている。
ある程度の制服への装飾と、髪型の自由という御影ノ学園内でも異例の校則に後押しされているせいか、生徒達の自主性により他の学科とは大きく異彩を放っている。
国内の、同じ街の、同じ学園内なのに、まるで外国にでも来たような印象を受ける。
だけど僕は、そこら中にいる金髪や茶髪やパーマやアフロに突っ込みたいわけじゃない。
どうして画用紙に向けて色取り取りのペンキを親の仇のように投げ付けているのだろうとか。
どうして人間が五人は入りそうな巨大な洗濯物カゴに何台もの自転車を押し込んであるんだろうとか。
どうして下半身だけの女性型マネキンが象の置物と性的に合体しているんだろうとか。
そんなよく知りもしない世界に突っ込みをいれたいわけでもない。
広くて長い廊下、はめ殺しの片窓、クラスの表札も普通科とはひと味違っている。
映像鑑賞もクリエイターを志す生徒達にとっては立派な授業なのか、白張りの教室には防音と遮光カーテン、そして最新のプロジェクターが設備されている。
雑音の進入を許さない教室は、昼寝に最適な環境提供にしかならないんじゃないかとか、これで学費が一緒ってどういうことなんだろうとか、この際だからそこら辺もしっかりと問い詰めたい。
だけど、それも今は置いておこう。
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