ドッぺru原画ー ノ 弐

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「それじゃ、自己紹介を頼めるかな?」  やたら爽やか過ぎる若い担任とか、やたら香水の香りが混濁する教室とか、やたら粘つく視線とか、今回はそれにだって我慢していい。 「は、はい……」  なぜ身空木が最初から芸術科二年Bクラスの窓際席から僕を見てニヤついているのかとか、なぜ削雛さんがその隣で笑いを必死に堪えているのかとか、それもこのさいはグっと堪えるとしよう。  ならば、僕はなにに突っ込みたいのか。 「真東、蒐……です」  あぁ答えよう、 「ん、すまないのだけど良く聞こえなかったので、もう一度頼めるかな?」  いえ、答えさせてください。 「…………真東」  なぜなんですか、どうしてなんですか、なにゆえですか、僕が悪い事をしましたか、妹にもちゃんとご飯をやってきました、今日の占いはAB型が一位でした、水瓶座が一位でした、なのになんでですか、なぜですか、どうしてですか、なにゆえ、なにゆえ、 「…………蒐子(シュウコ)、です」  どうして僕がブレザーとチェックのスカート姿なのですか。  どうしてナチュラルメイクで女子力上昇中なんですか。  どうしてですか、ねぇ、神様。 §   §   § 
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