ドッぺru原画ー ノ 弐

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「……あぁ? んだよてめぇ、何勝手入ってきてんだよ、こっちは男子ベンだろがよ」    両膝の傷。  多数の内出血。  切れた内頬。  斑点模様の火傷。  傷を隠していたかった、理由。  見られたくない、傷の理由。  僕をあえて置いていった理由。  つまりは、そういうことだったようだ。 「そういうことだった……じゃないだろ、僕」  足りない、足りない、確かに僕にはまだ何かが足りていない。  だけどつまりはそういことだったので、金髪が僕に向かって迫ってくる。  そうだ、こんな時は、たしかどうするんだっけ……?  僕も男子だから正当な権利は持っています、なんて言っても今はダメだろうなぁ。  格好が格好だし。 「それよりちょっと質問いいですか?」  いや、違うな、こうでもなかったような気がするけど、でも一応訪ねておこう。 「そこにいるのは削雛さんですよね。僕は彼女の友達です、貴男達は何をしてるんですか?」 「あぁ? こいつの友達、てーことは、てめぇが真東か?」 「違う! その子は――」  あれ、どうしてそんな事言うんですか、悲しいじゃないですか、削雛さん。 「はい、そうですよ、僕が真東です、初めまして」  いや、これもなんか違うな、なんで挨拶してるんだろ……なんだっけ、こういう時って。 「丁度いいぜ、お前もこいつの仲間なんだってな? 聞いてるぜ、色々とよ」  なんて考えていたら金髪男が目の前まで来た。 「でけぇ女だな。ま、その方がヤリやすいからいいけどよ、それに顔はいい方じゃねぇか」  うわ、息が臭い、ヤニ臭い、あと鼻がデカイ。 「男に言われても全然嬉しくありません、あと息が臭いですよ」  んー、いや、この対応も何か違うなぁ、しっくりこない。 「あぁ? てめぇ状況わかってんのかよ!」  状況、男子トイレで男二人になにやら乱暴されていたのだろう削雛さん。  そこに現れた僕(女装状態)。  僕よりちょい大きな金髪男(武器の所持は確認できず)。  体格はわからないけど、削雛さんの胸に手をかけてる茶髪男(しっかりモミモミ)。 「まぁ、だいたいは」  金髪男が口の端を持ち上げて、腹の底から汲み上げるように下卑た笑いを浮かべた。   
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