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発破音。
例えばじっくり茹で上げたウィンナーを勢いよく囓るような、硬い殻に埋まった赤い肉が飛び出す時のような、そんな香ばしい音にも似ていると思った。
音が鼓膜を叩くのと同時に、金髪男は膝から崩れて僕の方へ倒れ込んできた。
おそらく折れたのだろう鼻から血を流しながら倒れ込んでくるものだから、丁度いい位置にきた顔を前へと蹴り離す。
上履きに血がついただろうけど、制服につくよりはマシだ。
あ、仰け反ったままビクついてる、気持ちわる、じゃぁ念のためもう一度。
破壊音。
……うん。
目測誤って鼻下に当たってしまったけど、おかげで金髪男は静かになった。
恥ずかしい、武器を持っていない人間を、武器で攻撃する僕は恥ずかしい人間だ。
まだ、何かが足りていないのだろう。
でも、
「これで国家権力が味方してくれるんだから、世の中おかしいと思いませんか?」
もう一人の茶髪男に尋ねると、うんともすんとも言わなかった。
ただただ口をだらしなく開けてこっちを見ているので、こっちから一歩踏み出すとバネが壊れたオモチャのように弾けて立ち上がり、後も無いのに後ずさりを始めた。
「ふ、ふざけんな、なんなんだよ、なんなんだよてめぇ!」
いやだから、女子高生(仮)だってば。
それより訪ねるべき事があったんだ。
「ところで質問いいですか?」
「ち、違う! おれじゃねぇよ!」
いやいや、ここでその応答は色々と間違っている。
なので一歩詰める。
「削雛さんの髪を触りましたか?」
「さ、さわってねぇよ! なにもしてねぇよ!」
いやいや、ここでその答えは信用できない。
なので一歩詰める。
「削雛さんに怪我をさせましたか?」
「してねぇよ! まだなにもしてねぇって!」
いやいや、ここでその言い訳は見苦しい。
なので一歩詰める。
「最後の質問です、削雛さんのおっぱいを触りましたか?」
「触ってねぇよ! なにもしてねぇっていってんだろがよ!」
いやいや、ここでその言い分は通せない。
だって触ってたじゃん、揉んでたじゃん、お友達がすっ飛ばされる直前まで揉んでたじゃん。もみもみしてたじゃん。
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