ドッペru原画ー ノ 参

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「思ったより恐い話になっているのさ、この怪談話はね。“もとあった”本物の怪談話を差し置いて、勝手に話が飛躍し、人の都合で設定が足されていく。ふふ、本当にこの手の話は放っておくとどんどんおかしな方へと流れていく。だから私達みたいな部活が成り立つのだがね」  楽しげだ。  身体を動かさなくても、表情一つ変えなくても、身空木の楽しげな気持が視線で伝わってくる。  身空木のドッペルゲンガーでも出てくれば、両方とも嘘吐きということで、両成敗できるのに。 「“もとあった”怪談って、なんの事?」  意外な所に疑問を投げかけてきたのは削雛さんだった。 「なんだ、興味をもったのか?」 「今の私にも関係のある話なんでしょ」 「どうだろうね、私はそうとも思わないが、どうしても聞きたいと言うのなら話してやらんこともない……と、普段ならもったいぶるのだが、休憩がてらこの学園から生まれたドッペルゲンガーに纏わる怪談話をしてやろう」 「へぇ面白そうじゃない。追加料金は払わないわよ」 「案ずるな、この話に価値なんて無い。だから話すのだよ。それに少しでも御影ノ怪談へと踏み居れば、その内誰でも知る事ができる怪談話だ」 「なによ、それ?」  つまり、削雛さんはこの話を知らないようだった。  僕は身空木が話そうとしている話に、思い当たる物があった。 「これは御影ノ学園怪談、その全ての根本(ルーツ)にあると呼ばれる、七つの怪談」  許可を得たとして、身空木は姿勢を崩し、ゆっくりとかたり始めた。 「この学園にて、唯一“本物だった”と呼ばれている『始祖の七怪談』、その一つだよ」   §   §   §
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