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「これは学園に古くから伝わる、嘘のような怪談話」
「始まりは、愛し合った二人の少女の物語より」
「少女が二人、互いの愛を受け入れ、幸せな時間を、この学園で過ごしていた」
「歳は同じく、好みも同じ、互いを思いやる心も通じ合い、二人の魂は同じ形をしていた」
「彼女達は双子だったのだよ」
「姿は同じく、声も同じ、互いは互いを写し合う鏡のような存在だった」
「自分を愛するように彼女を愛し、彼女を愛するように自らを愛し」
「二人は愛し合った」
「その愛には限りがなく、また、果てもないように思えた」
「しかし、そこに一人の男がやってくる」
「彼女を見初めた、若い男」
「男は双子の傍えを呼び出し、自らの愛を打ち明けた」
「少女は男の申し出を断ると同時に、男へ何故と尋ねた」
「私達は姿も同じ、声も同じ、互いを思い合う心も同じ、そして貴男を思う心も同じ。何一つとして違いなどないはずなのに、どうして私を選んだのか、と」
「彼女の言葉に、男は嬉々として応えた」
「 “ それは君の方が 先に 生まれているからだよ ” 」
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