ドッペru原画ー ノ 参

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「それにしても、君は本当に綺麗な顔立ちをしているね」 「ありがとうございます、でも嬉しくありません」 「そうなのかい? もったいないよ、綺麗なモノは綺麗な内に形に残さないと」 「僕は僕の顔が嫌いなんです」 「例えそうであってもさ。どうだろう、こんど僕の作品のモデルにでもならないかい? 作品になるということで、自分と向き合うんだよ」 「お断りします」 「頑なだね。うん、無理強いはしない。それにしても本当に綺麗な――」  なんて事を言いながら、さりげに僕の顔へと手を伸ばしてくるのだ。  咄嗟に、反射的に、僕はおもいっきりその手を叩き落としていた。 「先生、セクハラでぶち殺しますよ」 「はは、せめて弁護士を先に通して欲しいかな」  お茶を濁すように湯飲みを口にして、白津先生は唇と舌先を湿らせた。 「それで、まずは削雛君について話を聞きたいんだよね」 「ええ、僕は今、彼女の現状に深く踏み入ろうとしています。なので聞きたい事だけ簡潔に質問させてください」 「……現状を少しは理解していると、思っていいのかな」 「はい、それでも彼女の力になるために、僕はここに来ました」 「そうか。君が普通科にいた時から、削雛君とは友達という噂は耳にしているよ」  恐らく、身空木が意図的に情報をばらまいているのだろうとは、昼休みの時点で思っていたけど、どうやら教師陣にまで話を伝播させているようだった。 「ではまず、削雛さんの作品を時折手伝っているとお聞きしましたが、削雛さんとはいつからお知り合いなんですか?」 「僕かい? そうだね、削雛君とは入学当初からの付き合いだよ、もちろん変な意味じゃなくて」  その他の意味があってたまるか。
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