ドッペru原画ー ノ 参

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「コンテストの作品なんかも、手伝ったりしたのですか?」  白津先生は一度だけ頷いた。 「直接作品に手を出す訳じゃないけど、身の回りのお世話とかはね。ほら、彼女みての通り、作品作りに集中しちゃうと周りが見えなくなっちゃうからね。こっそりクラスの仕事を僕が代行したりすることもあったんだよ」 「随分と献身的ですね、何か理由が?」 「最初は学科長からお目付役を頼まれて、それだけだったんだけどね。だんだんとほうっておけなくなってね。それからは教師としても、先輩としても彼女をサポートしていたつもりだよ」 「先輩として?」 「あぁ僕はここの卒業生なんだよ、芸術学科のね」 「そうだったんですか」  どうでもいい、と僕は思うが、身空木には一応報告しておこう。 「サポートと言っても、作品に関してはなんでも自分でやってしまうんだけどね。入学当初から手のかからない子だと思っていたんだけど……」 「だけど、ここに来て問題は起こった、そうですね?」  なんて、まるで何かに出てくる探偵役みたいな台詞だ。  我ながら、こんな事をするのは向いていないと思うのに。 「鈴村君との事だね。うん、僕もどうして彼女があんな事をしたのか、解らないんだ」 「つまり先生は、削雛さんが盗作をしたと思っているんですか?」 「僕は、彼女を信じてるつもりだよ。一年の頃から彼女の作品を見続けてきて、それは充分過ぎる程に解ってる。でも、今回だけは話が違う。あの作品だけは盗作だと言われても仕方がない。なにせ鈴村君の作品は削雛君より一週間も早く完成していたんだ」 「じゃぁ、やはり削雛さんの盗作だと?」 「担任としては、そんな事を君に言うわけにはいかないんだけどね。だけど、誰だって魔が差すことぐらいあるんだよ。誰だってね」 「魔が差す、ですか」 「鈴村さんも、初めて描いた作品で、まさかこんな事になるとは思わなかっただろうね。本当に、悲しい事だよ」  あれ?   僕の記憶に、エラーがでた。
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