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踊り場の中央で、ただひっそりと佇んで、下ってくる僕と目が合って、対面した。
丁度、正面で、僕達は見つめ合った。
「よかった、話を聞き終わってそっちに帰るとこだったんだ。少し解ったこともあるから、どこかで話を……」
いや、そもそも、この時点で気がつくべきだったんだ。
「……身空木?」
身空木楓が、無表情で僕を見ている事に。
「シュウ」
そして、ゆっくりと近づけられる、その表情と、
「私はお前を――」
その唇と、
「 “ 愛してる ” 」
この踊り場が、合わせ鏡だったという事に。
「みう、ッっ!?」
そして僕は、身空木に唇を奪われた。
押し当てられ、両の腕で押さえ込まれ、体重を押し付けられ、唇の奧に忍び込まれ、掻き回され、吸われ、嬲られ、喰われそうになりながら、後頭部を強かに打ち付けて、僕の意識は陵辱され、どこかへと真っ逆さまに落ちていった。
§ § §
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