ドッペru原画ー ノ 肆

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  §   §   § 「君、起きたまへよ」  起きた。  爽やかと呼ぶのはほど遠い目覚めだけど、どうやら僕は起きたようだった。  今世紀最大、宇宙誕生来最悪の夢をみた気分。  それでも、とりあえず、生きてはいるようだ。  意識と認識が溶解してドロドロになったコールタールみたいに眼球の空洞を満たしている。  重い。  背中が冷たい。  何かにもたれかかってる?  視界がハッキリとしない。  暗い。  暗闇を払いのけようと深呼吸、と同時に目を深く瞑って、吐き出すのと同時に開いた。  目の前に、身空木がいた。  膝を曲げて僕を不思議そうに見つめている。  このまま喰われて死ぬのだろうかと、そんな事を考えてしまった。  いや、考えようとして意識が頭に巡った瞬間、後頭部から突き出てきた疼痛に記憶が前頭葉まで押し込まれて、思い出す。   「やっと起きたか。なぜ君がこんな所で気絶しているんだね?」  何をしてる……何をしてる? 「う、っつうう、このっ」  咄嗟に手が出ていた。 「みギャっ!?」  拳に力が入らなかったので、開いた拳で掌底する形で、身空木の額を捉えた。  格好からして、ふんばりが効かなかったのか、不細工な叫び声と共に身空木はあっさりと後方へと倒れた。 「って、いきなりなにすんじゃくらぁ!」  が、そのままバネ仕掛けのように跳ねて起き上がる。  僕も合わせて立ち上がり、あからさまな憤怒の表情と向き合った。
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